まさふみの4コマ漫画集

まさふみの4コマ漫画集

4コマ漫画、日記、観た映画の感想などを投稿しています。自分にしか作れない記事を模索中です。

不思議な帽子の話

通勤電車で読んでいる本「午後おそい客」。昭和58年中に発表された全国のエッセイの中から有名無名問わず選ばれた作品が収録されている。

 

この本の中に、水木しげるの作品がある。帽子の話である。高級な帽子はすぐになくなってしまうのに、妻が買ってきた300円の帽子はなぜかなくならないという。あまりにもなくならないので、わざと親戚の家に忘れてみたり、訪ねた本屋に忘れてみたり、あの手この手で紛失計画を遂行するが、あくる日必ず戻ってくる。そんなある日のこと、風の強い日に橋を渡っていて、帽子が飛ばされ川の中に落ちた。ついに帽子がなくなったと喜んでいたら、あくる日巡査が帽子を届けにきた。この帽子にはある種のタマシイが宿っているのだな。というお話。

 

この作品を読んで、水木しげるらしいなと思ったと同時に、こんな摩訶不思議なことが起きることがあるんだなと、鳥肌がたった。

 

ものを粗末に扱うとき、罪悪感を感じることがある。それは、心のどこかで、ものに対して、人と同じような何かを感じているからなのだと思う。なぜ、そのように感じてしまうのだろう。それは、水木しげるが言うように、ものにはある種のタマシイが宿っていて、そのタマシイの気配を無意識のうちに感じているからなのかもしれない。

 

「運命の人」と世間ではよく言うけれど、「運命のもの」というのも存在しているのだろうな。ギタリストの人で、店頭に並んだギターを一目見た瞬間、「ビビビッ!これだ!」と感じたと言う人がいるが、これも、ものに宿るタマシイの仕業なのかもしれない。

 

世の中には、目に見えない不思議なことが沢山ある。そんなことを考えると少しワクワクする。