まさふみの4コマ漫画集

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4コマ漫画、日記、観た映画の感想などを投稿しています。自分にしか作れない記事を模索中です。

元が〜まるちょば・ケッチさんの講演を聴いてきた

先日、多摩センターで開催された、日本語教育者向けの講演会に参加してきました。私は、日本語教育には全く携わったことのない人間ですが、一般の方も無料で参加できるとのことで、会場に足を運ばせていただきました。

講演者は、パントマイムなどのパフォーマーとして世界的にも有名な、元が〜まるちょばのケッチさんでした(赤モヒカンの方)。

が〜まるちょば
が〜まるちょば

今回はお話がメインでしたが、少しだけパフォーマンスも披露していただけました。「見えない壁」を手のひらで再現するパフォーマンスは、本当に壁がそこにあるかのようで凄まじかったです。
( ˘ω ˘ *)イイモノミレタ

講演では、ケッチさんが海外での活動を通して感じた、「コミュニケーションでの見えない壁」についてお話を聞くことができました。
今回はその中から、私が特に印象に残ったお話を紹介したいと思います。

が〜まるちょばのケッチさんってどんな人?

まず、ケッチさんについて簡単に紹介しますね。

ケッチさんは、2019年まで「が〜まるちょば」という2人組のパフォーマーとして、世界各地で活動をしてきました(現在はユニットを脱退して、ソロで活動をしています)。 これまでにパフォーマンスをした国はなんと39ヶ国!さらに、旅行などを合わせると54ヶ国に行った経験があるとのことでした。
Σ(゚Д゚)スゲェ!!

youtu.be

ケッチさんは、学生時代から外国語に興味があり英語などを学んでいたそうです。また、海外でパフォーマンスをしたいという夢があり、金銭面の心配もあったため、同時に日本語教師としても働けるよう、日本語教育に関する勉強もしていたそうです。そういうこともあり、今回の日本語教育者向けの講演会にて講演をされていました。


講演会で印象に残ったお話

講演会で特に印象に残ったのは、非言語コミュニケーションの良い面・悪い面についてのお話です。会場の観客を交えた簡単な実験もあり、非常に印象に残るお話でした。

非言語コミュニケーションの良い面とは

非言語コミュニケーションとは、言語以外で交わされるコミュニケーションのことです。その例としては、顔の表情から相手の感情を読み取ったり、声のトーンなどからその場の雰囲気を感じ取ったりと、様々なものがあります。

が〜まるちょばさんのパフォーマンスでは、言語は一切使わず、非言語コミュニケーションで、観客を魅了します。パフォーマンスの動画を見てもらってもわかるように、言語を使わなくても、多くのお客さんを笑顔にし、何かを伝えることができるんです。まさにそれが、非言語コミュニケーションの良い面です。

これは、伝え手側だけのメリットではなく、受け手側としても同様のメリットがあります。相手の目や表情、声など、非言語の部分に注意を向けると、伝え手の意図していることがわかると言うことです。


講演会では、非言語コミュニケーションだけで意思の疎通がどれだけ図れるかを実感してもらうため、観客を交えた実験が行われました。
どう言う実験かと言うと、

私が説明しましょう。
まず、観客の中から1人の実験参加者(以後Aさん)を選びます。Aさんにはステージ上に上がってもらい、ある正解の行動を予想してもらいます。正解の行動とは、例えば、「ステージ上に置いてある椅子に座る」とか「ステージ上にいるケッチさんと握手をする」などです。その正解の行動は、Aさんにだけ知らされておらず、観客にのみ知らされています。そして、観客の皆さんには、Aさんが正解の行動に近づけば近づくほど、大きな拍手をするように指示が出されています。Aさんは、観客の拍手を頼りに正解の行動までたどり着くことができるのか、と言う実験です。

実はこの実験、運良く私が「Aさん」に選ばれ、ステージの上でその実験を生体験させていただきました。
Σ(゚д゚;) ヌオォ!?

実際に体験してみて、自分だけ正解を知らされていない、そして、観客の皆さんからの視線が自分にだけ注がれているということは中々の恐怖でしたね。
(;^ω^)

実験の風景を紹介すると、まず私はステージ上をおそるおそるゆっくりと歩き、拍手の音が大きくなる方へ歩いて行きました。教卓に近づくと拍手の音が大きくなり、教卓を通り過ぎると拍手がなくなる。そのため、教卓に何かがあると、私は感じていました。実際に、私に隠されていた正解の行動は「教卓の上に置いてあるペットボトルを手で持ち上げる」ということだったのですが、なかなか正解に辿り着けず、教卓の周りをまわったり、教卓の下に隠れたり、教卓の前でバンザイをしたりしていました。
⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ハズカシ

ステージ上でバンザイする人の図
ステージ上でバンザイする人の図

何だ?何だ?と思いながら、教卓の上にあるペットボトルに手をかけた瞬間、会場に大きな拍手が鳴り響きました。このとき、正解に辿り着けたことを知り、すごくホッとしました。観客の皆さんは一言も言語は発していませんが、観客の皆さんの拍手の音、表情、会場の雰囲気など、非言語のものからでも何かを感じ取ることができると言うことを、身をもって体験することができました。
(*´ー`人)貴重ナ体験ヲアリガトウ

非言語コミュニケーションの悪い面とは

言語を使わなくても相手とコミュニケーションを図ることができるというのは、良い面ではありますが、そこには同時に、悪い面も存在しています。例えば、自分のちょっとした態度や表情でも、相手に悪い印象を与えてしまったり、と言うことがあります。

この非言語コミュニケーションの悪い面は、自分の記憶や先入観なども含めた意識の部分から発現してしまうことがあるのだそうです。 このことを証明するため、また別の実験をしていただきました(この実験は私は観客側でした)。
どういう実験かというと、

またまた私が説明しましょう。
まず、観客の中から7人の実験参加者を選びます。その7人には、このような指示が出されます。「自分達のことを、これから観客の前で演奏をするコーラス隊だと思って、ステージ上に上がってください」と。そしてここがこの実験の肝になる部分なのですが、ステージに上がる前に、コーラス隊の7人だけに、ケッチさんからある言葉がかけられます。コーラス隊の方々の振る舞いに影響を与えるような言葉です。観客の皆さんには、どんな言葉がコーラス隊にかけられたかは知らされていません。
この試行を2回行い、1回目と2回目で、コーラス隊には別々の言葉がかけられます。1回目と2回目にかけられた言葉の違いで、コーラス隊の振る舞いがどう変わるのか、観客がコーラス隊に対して受ける印象がどう変わるのか、と言う実験です。

※ちなみにこの実験は、ケッチさんが、キースジョンストンさんという方に教えてもらった実験だそうです。

急きょ作られたコーラス隊の図
急きょ作られたコーラス隊の図

1回目、2回目、それぞれの試行で、コーラス隊の振る舞いや、観客側が受けた印象がどう違ったかを紹介します。

まず、1回目の試行では、コーラス隊の方々は、どこかぎこちなく、表情も固く、不安そうな雰囲気でステージの上に上がって行きました。観客側としては、見ているこちらまで心配になるような、緊張感を感じました。まるでそこに「見えない壁」があるようでした。

次に、2回目の試行では、コーラス隊の方々は、少しリラックスしたような感じで、皆どこか嬉しそうな笑顔を浮かべて、ステージの上に上がって行きました。観客側としては、2回目のコーラス隊の方が、演奏を聴いてみたいというポジティブな印象を受けました。


この2つの試行が終わり、ケッチさんから観客の皆さんに質問がありました。「1回目と2回目で、コーラス隊にかけた言葉は何だったのか?」と。

観客からは、このような意見が出ていました。2回目は「笑顔でお願いします」とか「楽しそうにお願いします」というようなことを伝えたのではないか、と。

ただし、ケッチさんがコーラス隊にかけた言葉は全く違っていました。
それは、

  • 1回目は「今日の観客はめちゃくちゃ最悪です」
  • 2回目は「今日の観客はめちゃくちゃ最高です」

ということでした。

この正解を聞いたとき、「コーラス隊の方々の意識が少し違うだけで、こんなにもコーラス隊の方の振る舞いや受け手側の印象が変わるのか」と驚きました。
Σ(゚Д゚)オドロキ


私は以前、会社で外国の方と接する機会があったのですが、変にこちらが身構えてしまい、重たい空気が流れてしまったことがありました。その原因の一つには、「なんていったら良いんだろう、気まずい...」とか「言葉がわからない、どうしよう...」というような、後ろ向きな意識の影響があったんだなと反省しました。また、嫌われている人に会うとき、親しくない人に会うときなどなど、「変な印象を与えてしまったらどうしよう」とか、どこかネガティブな意識を持って相手に接していた自分がいたことを思い出しました。この実験を通して、このような後ろ向きな意識が、さらに良くない関係を作り出すと言うことに、改めて気付かされました。

講演会全体の感想

日本語教育者向けの講演会に初めて参加させていただき、普段は聞くことのできない貴重なお話を聞けて大変勉強になりました。

日本語教育は、これまではビジネス向けのものがメインだったそうですが、グローバル化が進むにつれ、日本で生活する外国人の方も増え、ビジネスだけでなく、生活に根付いた日本語の教育が求められるようになってきているのだそうです。こうした、生活者としての外国人に対して、私たちがどう日本語を教え、日常の中でどう接していくのが良いかを考えることは、私たち一般市民にとっても大事なことだと感じました。

関係者の皆様、貴重なお時間をありがとうございました。 また、このような講演会があったら、積極的に参加してみたいと思いました。
( ;ω;)وグッ